【完】俺の隣にいてほしい。
黙ったままその場にたたずむ私に、椿くんが声をかけてくる。


「なんかごめん。あいつらうるさくて」


「えっ、ううん、大丈夫。学校の友達?」


「うん。いつも一緒にいる奴ら」


そこで、私は思わず彼に気になったことを聞いてみた。


「あの、なんか今、友達にも彼女だって誤解されちゃったみたいだけど……大丈夫なの?」


ほんとに付き合ってるわけじゃないのに、否定しなくてよかったのかなって。


そしたら彼は、すんなりと答えた。


「いいよ、全然。むしろ、そっちのほうが都合いい。彼女できたって言っとけば女紹介されたりしなくてすむし」


「そ、そっかぁ……」


それを聞いて、半分は納得したけれど、やっぱりちょっと不思議に思えてしまった。


仲のいい友達相手なのに、ウソをついていいのかなって。男同士ってそういうものなのかな?


「それより俺、もう一個やりたいゲームがあんだけど」


するとそこで、椿くんが先ほど脱いだブレザーを羽織ったかと思うと、そんなふうに言いだした。


「えっ? いいよ。何のゲーム?」


私が問いかけると、フッと微笑みながらまた手を繋いでくる彼。


そして「こっち」なんて言いながら、私の手を引いてそのゲームのあるほうへと歩いていった。



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