【完】俺の隣にいてほしい。
その言葉に思わずドキッとする。


ウソ。近づくなって……。


「やべ、椿に怒られちった!」


「おっと~、それはもしや、俺のものってことかな? 椿くん」


「独占欲ってやつだね」


それを聞いた彼の友達が冷やかすように言う。


どうしよう。なんだかものすごく照れくさいよ。


「……うるせぇな。心音、あっち行こ」


すると椿くんは、渋い顔をしながらそう言って私の手をギュッと掴むと、反対側のドアのほうまで連れ去るように歩いていった。


「えっ」


「ヒュー! ごゆっくり~」


後ろから再び冷やかすような友達の声がして、また恥ずかしくなる私。


「……はぁ。なんかうるさくてごめんな」


「ううん、大丈夫だよ。でも、いいの? 友達と一緒にいなくて」


謝る椿くんに、思わず気になったことを尋ねてみる。


すると彼は、涼しい顔で答えた。


「いいよ、あいつらにはどうせまた学校で会うし。心音と一緒にいる時間のほうが貴重だろ」


「えっ……」



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