【完】俺の隣にいてほしい。
無事学校の最寄り駅について電車を降りると、椿くんがホッとしたように息を吐いた。


「はぁ。なんか今日の電車、すっげー混んでたよな」


「すごかったね、ギュウギュウで。こんなに混んでたの、久しぶりかも」


私も人混みから無事に抜け出せたことにホッとする


「心音、平気だった? つぶされたりしなかった?」


なんて、心配そうに聞いてくれる椿くんは、やっぱりとても優しい。


だけど、椿くんが盾になってくれたおかげで、チビな私は押しつぶされずに済んだし、彼の腕につかまっていたからバランスを崩して倒れたりすることもなく本当に助かった。


「うん、大丈夫だよ。椿くんがいてくれたから。どうもありがとう」


照れながらも笑顔でお礼を言ったら、その瞬間椿くんがフッと優しく笑った。


そして、そのまま彼はポンと私の頭に片手を乗せてくる。


「ならよかった。何かあったらいつでも俺に言えよ。守ってやるから」


「えっ……」



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