先生、私のこと好きでしょ?
小さな時からずっと同じ学校。

兄妹みたいな存在だった。


中学から一緒にいる相手が変わる時期。
近かったはずの煌の存在は、次第に離れて行く。


だけど、ずっと傍にいて守ってくれた。


だけどーーずっと私の中じゃ幼なじみで、変わらないはずだった。








「ーーゆあ。


夏合宿で、先生から奪うから覚悟しておいて」



大人な声色。



前はこんなんじゃ無かった。


大人ではあったけど、こんな真面目な表情も、こんな本気の言葉も、"幼なじみ"に向ける言葉では無かったから


言われたことさえ、無い。



だけどーー今は。。




煌の言葉1つ1つに、、


惑わされてしまうーーーー。





「はいはい、そこまで」






割って入ってきた声は、先生。


少しだけ、煌を睨んでいた。





先生ーー?




出したかった声は、心の奥底にしまった。


言えなかった。



向き直る2人のオーラに、立ち向かう勇気なんか無い。


あるのは、必死に隠そうとするこの動揺だ。





少しばかり、ドキドキする煌の言葉。



意識しないでは居られないドキドキした胸は、冷静さを保てない。



「ーー私、ちょっと御手洗にっ」



なんて、返事を待たずに逃げてきてしまった。


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