先生、私のこと好きでしょ?
「おやつは300円までなの?」

素朴な疑問。

1日の遠足は、だいたい300円だった記憶ある。


「それは1日の場合だろう。
合宿日数考えたら、1000円でもよかろう。
いいからついてこい。
好きな菓子買ってやる!」



まるで、子供達にお菓子を買う親戚のおじさん的なノリの先生に、煌と顔を見合わせ笑った。


好きなお菓子なら、たくさんある。
甘えたらいくらでも買ってしまいそうな先生と、駄菓子屋に入った。


懐かしの、駄菓子屋。

昔から無くならない懐かしいお菓子満載の店。


値段もいつも手頃な価格で、1つ1つが安い。
安いだけじゃ無く、味も最強。

学生に優しい価格、そして味。

「懐かしいな、あーキャンディ。
指輪のキャンディとか、懐かしい。
小さい時は指輪がちょうどよかったけど、今は小さいね」


懐かしいな。

指にはめてだけど勿体なくて、舐めないで居たら、虫が止まってあの時舐めてればよかったって後悔した記憶がある。


「あーあれな。

指輪にはめて舐めないで居たら、虫に先に食われてな。
泣いてたもんな、ゆあ。

今思い出しても笑えるわ!」




小さな時の淡い記憶。

ーー懐かしいけど、恥ずかしい。
今更ながら恥ずかしい記憶に。


目を背けた。

< 128 / 219 >

この作品をシェア

pagetop