先生、私のこと好きでしょ?
近づく先生に、ギュッ、と目をつぶったら差し出されたのはーー箸。


は、箸?

何故?


「早く食わねーと、デート出来ねー。早くしろっ」


促された和食の数々。

食べ物の味が喉を通過しない。
だってそれより、目の前にいる人はーー私の学校の保健医で、そして。。



大好きな彼氏様なんだから。


好きになる予定なんか、無かった人。
暴力的で怖くて、好きになる予定なんか1ミリも無かったのに。


「ーー早くしないと、置いてくぞ!」

さすが、男の人。
食べるスピードは、早い。

早くしない、とって早く食べたけどーー
むぐっ。

詰まったやばい。

水、水は!?







コトン、と置かれたミネラルウォーター。




「ーーーー焦りすぎ。
そこまで早く食えとは言ってないわ。
焦らなくても、いい。

ゆっくり食べろよ。
待ってやるから」



テーブルに頬杖ついた蓮さんは、穏やかな表情で、私を見ていた。


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