桜咲く季節がめぐる瞬間(とき)
守りたい(めぐるside)
めぐるside

突然告げられた言葉。

彼女に何度も電話をかけたけど、着信拒否。
メッセージも既読にならない。

僕は、彼女に嫌われるようなことをしてしまったのかな?


モヤモヤを抱えながら、彼女の家に向かった。


『ピンポーン』

『はい』
「西宮めぐるです。咲月さんはいますか?」
『……さっき出かけて、まだ帰ってきてないんだ。ごめんね』
「そう、ですか。わかりました」


たぶん、嘘。
咲月は家にいる。
自分はいないと言うように指示をしたんだ。

諦めるしかないのか……?

咲月の家から駅に向かう途中、小学校からの咲月の友達と会った。

「西宮くん」
「最近、咲月に何かあった?」
「西宮くんは知らないでしょ? 咲月に何があったのか」
「……うん」
「咲月の写真が、黒板にはられていたの」
「盗撮……!?」
「そうだよ」

誰がそんなことを……!!

「内田先輩って知ってる?」
「……うん」
「その先輩の従弟が咲月と同じクラスで、その人が犯人なんじゃないかって」
「……山田さんはどうしてそこまで知ってるの?」
「……はあ!? あんたが! 役立たずだからじゃない!! 咲月の彼氏なんでしょ!? それなのに、何も知らないなんて! 咲月の様子がおかしいって思わなかったわけ!?」

僕は……咲月の笑顔を守りたくて、強くてかっこいい人になろうとした、のに。

咲月が傷ついていたことに気づかなかった。

「…ごめん」
「私に謝らないで。今すぐ咲月のところに行って」
「うん。山田さん、ありがとう」

僕は走った。彼女の元へ全力で。

息が苦しい。

でも、咲月は今の僕以上に苦しいんだ。
呼吸が出来ないくらいに。

それをひとりで抱え込んで、今も暗闇の中にいる。

僕が、彼女を……!!
< 11 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop