道案内のその後は

「柊、です。」

ひいらぎ、そういえば推しの名前もひいらぎって漢字だったな。

すごい偶然。


「柊さんは東京に住んでいるんですか?」

「はい、出身も育ちも東京で、なので観光名所にはあんまり興味が無くて、気付いたら穴場探しに夢中でした。」

こんな案内役ですみません。と笑う柊さん。

「そんな!私もありますよ!地元の観光地にそこまで興味が出ないこと。私は方向音痴なので、旅行先でよく迷子になるんです。そのまま行き着いた場所で散策して、駅を見つけて帰るんです。」

力いっぱい、そんなことないですよ!の主張を試みた私に、

「それもう冒険じゃないですか。」

と柊さんも笑顔で答えてくれた。だいぶ笑われているが。

「そうなんですよ!冒険なんです!」

そう私が言うと、柊さんはもっと笑い出し、しばらく私の迷子話に花咲かせながら、東京穴場巡りを続けた。



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