道案内のその後は

穴場スポット巡りという名の冒険の中で、ときたま見せる柊さんの雰囲気に私は気付いてしまった。

寂しげで、悲しげな、時折どこか遠くを見つめながら、申し訳なさそうに話す時がある。

始めは気を使ってくれているのかな。
と思っていたのだけど、どうやら違うらしい。

本人曰く
「なんでもないですよ。僕、今とっても楽しいので」
だそうだ。

柊さんが楽しめているならと、しばらく気にしないでいたのだが、時間が経つにつれて、なんだか寂しそうに笑うことが増えていた。

私が遠慮せずに、一日付き合わせてしまったことが、悪いのかもしれない。

答えの出ない考えが堂々巡りし、言葉少なになってしまっていた。

「歩き疲れましたよね。少し休憩してホテルに帰りましょうか?」

「あっ、すみません。気を使ってもらって……それに、今日一日付き合わせてしまってごめんなさい」

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