今、その愛を下されば ~どこまでも愛し、尽くします~

「ご馳走様でした」

実にいい食べっぷりで、彼女は用意した食事を食べ切ってくれた。
作り手として、完食は一番嬉しい。

「お粗末さまでした。食後はミルクティーがいいかな?」

声をかけつつ、お皿をまとめて持って流しへと運ぶ。

「あぁ、お片付け手伝いますから! こんなに美味しいご飯も、食べさせてもらったんですし」

そういって彼女は自分が使った食器を持って俺の後に続いてきた。

「いや、二日酔いとかになってない? 無理しなくっていいぞ? 俺はこういうことが好きでやってるしな」

ニッと笑うと、キョトンとして小首を傾げて平野さんは言う。

「土居さん、私以上に女子力の塊ですね。私、料理も片付けも苦手で……。こんな風にいきなり人を家に招けませんし、おもてなしも出来ませんよ?」

やや恥ずかしげに告げてくる彼女に、内心で身悶えつつ、俺は優しく微笑んで返事をする。

「それなら、俺と一緒に住めば至れり尽くせりだよ? 掃除も料理も家事は好きだし、なんでも世話妬いちゃうよ? どう?」

冗談めかした口調だけれど、これは俺の百パーセント本音である。
正しく俺の理想をいく彼女。
存分にお世話させてくれたら、俺には至福である。

「それ、私がますますダメになりそうで危機感しかないですよ!? でも、自分の苦手が得意な人は尊敬しますけどね」

ニコニコと返した、彼女に俺は笑顔を少し改めて告げた。

「これ、本気だって言ったらどうする? 毎日君のお世話させて欲しい。君が好きだから、愛し尽くさせて欲しいって……」


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