寂しさは他で埋めるから
桜町の有名店を何軒も素通りした後、通りへと出る少し手前にひっそりと、古びた看板を見付けた。
「ぽっちゃり専門店」
白い丸ゴシックで書かれた看板はもう随分と傷んでいて、けれどぼんやりとピンク色の明かりをビルの入口で放っていた。
この通りをうろついているのも何なので迷うことなく中へと入ると、入口に立っていたボーイの男性が躊躇ったように視線をカウンターへと投げる。
恐らく今日お店を回しているのであろう中年の男性が、カウンターからこちらへと身を乗り出してきた。
ええと、と彼が言うのを遮るように、「おたずねしたいのですが」と私の方から声をかけた。
「2年ほど前に、ここで働いていた小林さんって、まだいらっしゃいますか」
「ぽっちゃり専門店」
白い丸ゴシックで書かれた看板はもう随分と傷んでいて、けれどぼんやりとピンク色の明かりをビルの入口で放っていた。
この通りをうろついているのも何なので迷うことなく中へと入ると、入口に立っていたボーイの男性が躊躇ったように視線をカウンターへと投げる。
恐らく今日お店を回しているのであろう中年の男性が、カウンターからこちらへと身を乗り出してきた。
ええと、と彼が言うのを遮るように、「おたずねしたいのですが」と私の方から声をかけた。
「2年ほど前に、ここで働いていた小林さんって、まだいらっしゃいますか」