Love EaterⅡ



ソルトとて全くショックでないわけではないのだが、それでも述べた様に穏やかに割り切れているのも本当。

また、六花の匂いに欲求を駆り立てられる時間の再開ではあるが、ただそれだけの事。

決別した時の痛みに比べたら悶絶出来る時間の幸せな事と言ったら。

「おいで、」

「っ……」

抱きしめ愛しむ事が出来るだけ上々なのだ。

そんな柔らかな抱擁には、六花も猫の如く素直に身を寄せ甘えてしまう。

想定外の大人対応には戸惑いつつも嫌いなわけではない。

寧ろ甘くて心地が良い程。

甘くて甘くて、

「ん……美味しい…」

「んあっ?何が?」

「よくわかんないけど……ソルトにひっついてると甘くて芳醇で…美味しい。美味しいって感じる程熱くなる」

「それって…魔女の瘴気食らったのと同じ感覚か?」

「ん〜…、そう…かな?多分?凄く美味しそうな甘〜い匂いがして堪らないの。今も…甘ぁ~い、…美味しいぃぃぃ」

「って…まさに食ってんのかい」

全くそんな感じはしないのに。と、腕の中の六花を覗き込めばまさにその瞳は藤色へと変色している。

流石にもうそういう仕組みなのだと薄くは理解しているから驚きはないものの。

「お前…今までもこうだったのか?」

「ん~?こうって?」

「俺に甘い匂いを感じたり…瘴気を美味いって食ったりとか」

「いや、まずね、僕自分以外の魔女と対峙したのが初めてだから。瘴気なんて物は見るのも食べるのも初めてだったよ。ソルトの甘い匂いも……今日が初めてだね。てっきりデートだからお洒落にコロンでもつけてるのかと」

これもまた分かってはいたけれど、やっぱり六花自身今までにない変化であったのか。

< 144 / 230 >

この作品をシェア

pagetop