Love EaterⅡ



不意に失笑混じりに突っ込まれた一言には素直にそうだとは認められず。

それでも否定するには事あるごとに頼っている自分の過去が邪魔をする。

相変わらず百夜に対しては性質の悪い男だという印象は固定。

それでも性格を抜きにすれば様々な場面で助言もくれるし協力的であるのだ。

悔しくも亥の一番にその姿が浮かんだのが良い証拠。

それでもどうにも完全に認めるには変な羞恥心も生じて言葉を濁してしまっていれば。

「フフッ、いいよ。このソルト見て僕もなんかその人信頼したぁ」

「はっ!?いやっ、本当に腕は良くても中身はダメダメで厄介なおっさんだぞ!?見た目は子供中身は性悪親父って最悪なやつよ!?」

「あはは、ますます興味沸いたかも」

「っ…あんな性悪親父に興味だすとか許しません!」

「どこのお父さんなのさソルト。ってか……ああ、そっか。もしかしてヤキモチ?」

「っ………」

「僕が珍しく他の人間に興味出してるから面白くないんでしょ~?」

『違うわっ!!』

と、否定できない俺…死ね。

まさに言われた通り。

百夜の存在をチラつかせたのはソルトであるのだが、まさかここまで六花が興味を示すなんて思ってもみなかったのだ。

いつだってソルトにだけ盲目な六花は他者に興味など示した事もないし、蓮華に対しての無感情さも記憶に強い。

百夜に対してもそんなスタイルの六花になるだろうと薄ら思いこんでいたところにこの食いつき。

うっかり百夜の悪印象を強調してしまう程には嫉妬で焦っていたらしい。

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