Love EaterⅡ
すみません時雨様。
いや、薬の効果としては嘘は言ってないんだけど。
それに薬の効果の有無ははっきり伝えておいた方が時雨様にとっても大事な事だろうし。
なんて、必死に自分の後ろめたさに言い訳を並べていた最中、
『あれ、抑制薬じゃないですよ』
「………はっ?」
『体から頭から逆上せ上がるのは寧ろ正常の効能な精力剤なので安心してください』
「はいっ!?精っ…はぁぁぁ!?だって限界な時に使えって…」
『いやぁ、もういっそ理性飛んで一線踏み越えちゃえば悩みも何もなくなって解決になるんじゃないかと思いまして』
こっ……恐ぇぇぇぇぇ!!!!
何このシレッとした危険思考っ!!?
何が恐いって『あはは』って呑気に笑う声が恐いっ!
思いがけない衝撃の事実の激白には、百夜が時雨を狸だと罵った事を思い出して納得してしまうほど。
確かに、思い返してみれば時雨はあの薬を『抑制剤』とは言っていないのだ。
単にあの流れからソルトがその手の薬だろうと思い込んだに過ぎない。
それでも、ソルトからすればあの会話の流れでまさか抑制ではなく強行突破な物品を渡されるなんて思いもしなかった事。
そして、ネタバレした今もまったく悪びれない様なあっけらかんとした反応とくれば。
もうこの人から貰ったものを迂闊に口にするのはやめよう。
と、ここに来てようやく時雨に対しての警戒心が芽生えたのだ。