Love EaterⅡ
勿論、ソルト本人も一応百夜の部屋に押しかけ気味だと自覚もあるし、自粛せねばとモラルもある。
何だかんだ六花との蟠りも解決した今、今後の私情の悩みは自分だけで対処していくべきだと気を引き締めていた筈なのだが。
何せ、恋愛下手なソルトの事なのだ。
そうスマートに全て解決出来る筈もなく、案の定新たな壁にぶち当たっての駆け込み寺。
そこは百夜だ。
ぼちぼちこんなソルトが縋って来るだろうと予測済みで、だからこそ部屋の入り口にあんな張り紙をして先手を打ったわけで。
ソルト本人に言った様に仲違いの問題が解決した今、それ以後の悩みなど惚気以外の何物でもなく聞く気もない。
投げた匙は拾わないと言っただろう?と、煙を吹き付けあしらうつもりであったが。
不意に浮かんだのは悪戯心と言うのか。
「で?」
「へっ?」
「今度は何に悩んでるってのさ?」
「な、なんだよ?結局話は聞いてくれるのか?」
「聞かないと言っても一方的に語るリッ君だしね。それに僕は気まぐれなんだ」
「嫌ってぐらいに知ってるよ」
「ほらほら、早く言わなきゃ気まぐれな僕の気がまた変わってしまうかもよ?」
百夜の脅しは脅しではない。
程々に長い付き合いのソルトは十分に分かっていて。
だからこそ今にも興味を手放しかねない姿には素直に焦って食いついてしまうという流れ。