Love EaterⅡ
過去に悔いがある。
つまりは今程の言葉は全て時雨自身が過去の自分に向けたい言葉であるのだろう。
それを理解してしまえば、
「時雨様が過去に想われた方って、」
「………」
「あ、いや、すみません。不躾に…」
「フフッ、いいんですよ。昔の話です。最初に愛した女性は死別しました。自分の想いを告げる事も叶わぬうちに」
「えっと…最初って事は…」
「次に愛した女性はそれこそ運命の相手で自分の番であると信じていたんですけどね、」
「……その方も?」
「彼女は……奪われました」
「……へっ?」
「友人だと思っていた男に奪われ攫われ…今はどうしているやら」
「………えっと、」
「あはは、フォローの言葉も失うでしょう?僕はね、どうにも女運が悪いんですよ」
これについては下手なフォローの言葉も浮かばず、ただ同調を示して複雑に笑むばかり。
それでも確かにそんな過去があればあんな悔いが浮かぶのも頷ける。
今はあっけらかんと笑って見せる時雨だが、きっとその瞬間の悲哀や衝撃は言いようのないものであったのだろう。
そしてその痛みは同じで無いにしてもソルトも小さく覚えがあるのだ。
六花を失いかけ絶望した記憶が。