Love EaterⅡ



まさに今百夜の眼差しがチラリと横に逸れかけた刹那には、

「ヤ、ヤる事目的じゃねえデートってなにすりゃいいんだっ!?」

「ブホッ_」

「………へっ?」

ソルトの焦りも分からなくもないが…。

どれだけ最低男全開な恋の悩みであるのか。

一体どこまで恋愛下手なのだ?と百夜が呆れたのは勿論。

それでも、ソルトの発言にいちいち動揺を見せる百夜である筈もないのもまた承知。

ただ、ふーんとばかりに煙管の紫煙を揺らすばかりで、ブホッなんて噴き出すマトモな神経の男ではない。

つまり、噴き出したのは別の人物となる。

そんな事実にソルトは口元をヒクつかせて百夜を睨み。

そんなソルトに百夜はここにきてようやくしてやったりに笑ってみせてくるのだ。

完全に油断していた。

居るのは百夜だけであろうと言う思い込みもであるが、百夜の悪戯に対しても。

投げた匙を拾わない。なんて言ってた男が、さらりと悩みを受け入れてくれた時点で疑問に思うべきであった。

いや、疑問を抱かせる前にまんまと脅して急かした百夜の作戦勝ちともいえるが。

本当、一発くらいなら殴っても許されるんじゃなかろうか?

百夜のまったく悪びれない悪戯っ子の様な笑みに、ついつい握った拳を震わせてしまうソルトだったが。

今はとりあえず百夜に対する憤りは後回しだ。



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