Love EaterⅡ



百夜が毒を吐くのなんて今に始まった事ではない。

でも、普段その被害者となるのはソルトが主。

だからこうして百夜の矛先が他人に向いているのを客観的に捉えるのは慣れていないし落ち着かない。

しかも、その的となっているのがまた人畜無害代表の様な時雨ときている。

なんでまた敢えてこの人に!?と、戸惑いも大にソルト一人がワタワタと間に立ってしまうのだ。

自分ならいくらでも百夜の吐く毒に免疫はあるけれど、この人は別だろう。

そんな感覚で咄嗟に時雨を庇う様に百夜に食ってかかったのだが。

「盗めるものは何でもといったところでしょうか」

「…………ふへっ?」

思ってもみない言葉はソルトの背後から。

ほら見た事かと言わんばかりに目を細めた百夜の姿を収めたのは一瞬で、すぐさまその視界は背後の時雨へと移り変わり固定される。

それでも映し捉える時雨の姿と言えば、『何かありました?』と言わんばかりに穏やかな微笑みをソルトに向けてくる。

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