Love EaterⅡ




「よく分かってるんじゃないか」

「っぉぉぉ……!!!!!!?」

センチメンタルな感情を一瞬で回収する声音は突如の物。

しかも、自分以外誰も居ないと確認済みであったが故に余計に自分以外の発声には過剰に驚愕して可笑しな声まで漏れる始末。

それでもソルトが一番驚愕したのは目の前にスッと逆さまに表れた六花の頭に対してなのだ。

お化け屋敷さながら。

ぷらーんと垂れ下がってきた六花の全貌を種明かしすればなんてことない。

お馴染みの箒に足をかけたまま逆さまにぶら下がっているだけの話。

それでも魔女であるからこその登場の仕方で、それでなくとも気を張っていたソルトには衝撃も衝撃。

思わず暴れる心臓を掴んで宥めるが如く胸を押さえてしまったくらいに。

それでも、そこそこ六花に免疫の出来ているソルトだからして、

「っ……てっめぇぇはぁぁぁぁ~。ふっざけんな!!心臓が止まるかと思ったわっ!!」

「そりゃ残念。いっそ盛大に止まってくれた方が本望だったんだけど」

「ああっ!?」

「いや、だってそうでしょ?他の女に殺られるくらいなら僕が殺る」

「っ……」

「ソルトは僕の物だって言ったでしょ?僕は嫉妬深いんだ。ソルトの命の左右でさえ僕の物なんだよ?」

知らないなんて言わせない。

そんな補足は鋭く澄みきった水色の奥で垣間見た気がする。


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