Love EaterⅡ



先程までのあどけない少女の愛らしさなんて皆無に、ソルトを捉える双眸も表情も冷静なる一色。

それに見事飲まれて口を噤めば、刹那に首元に這わされる六花の華奢でヒヤリとした指先。

その指先がソルトの首筋の動脈を触れると当時。

「死んでいいなんて誰が言った?」

「っ……」

「僕は嫉妬深いけど、僕のところに帰って来る分には『いってらっしゃい』って送り出してあげるよ」

「六花…」

「でも、」

「っ……」

「死にに行くのは約束違反だ」

「いやっ、俺は…」

「死に行くつもりはなかった?死ぬ覚悟ありきの自分の生業だって自分に言い聞かせるような女々しさ発揮しておいて?」

「それは…」

「勝手に死ぬこと前提に酔いしれてんじゃねえぞ!」

「っ___」

決して声を張った怒号ではなかったというのに、六花の静かなる気迫にはソルトも反論の言葉を失ってしまった。

相も変わらず逆さまの宙ぶらりん。

説得力とは程遠いような状態を貫いている癖に、どうしてかその言い分や眼差しには下手な言い訳は返せないのだ。

それどころかジワリと心を蝕むのは罪悪感に似た心地の悪い感情ときたものだ。

今にも口から『ごめん』なんて言葉がついて出そうな程。

そんな感情をまるで読み透かしているかのように、

「僕に愛されて…簡単に死ねるなんて思うなよ?」

六花の口から弾かれたのはさっきの延長のまま咎める言葉であり、愛の告白であり。


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