Love EaterⅡ
まあ、でも……悪質だけど悪い気はしない今日この頃っつーのか。
こいつに言ったら調子に乗って悪化するから言わねえど…。
パンツ泥棒も覗き行為も迷惑な事に変わりはないのだが、ついつい自分への好意の為せる業だと思うと甘くなってしまう今日この頃。
形ばかり怒鳴ってはみても本気では怒れてないんだよな。なんて、今も六花の細腰に腕を巻きつけながら惚気てしまうのだ。
それに、確かにこんな魔女行為より断然良い。
どんな目的があるにせよ一瞬にして人の人生を傷つけ迷わすようなこんな魔女よりかは。
魔女の全てが悪ではないとしても無差別に他者を害する魔女は刈りとるべきであるのだ。
それが正義だなんて大層な事を吼えるつもりはなく、正義だなんて思った事もない。
ただ、無意味な争いごとは起こしたくないし見たくないだけ。
神父である限りは撃つべく者は撃ち、守るべき者は守る。
そんな信念を復唱したわけではないが、その意識が高まり集中したのは確か。
見下ろす濃霧はまるで晴れる気配はなく、寧ろ濃くなり2人を拒む。
それでも、ソルトの眼差しはそんな濃霧に惑わされること無く、一点を定めて見つめ抜くのだ。
視覚による視覚ではなく、聴覚による視覚によって。
甘い甘い、強烈に酔うような匂いによって。