85%確信犯



『颯ー今ドキ俺様男子はモテないよー?』

「黙れクソ温」

『は?心音に、その男子と付き合えばーって言っちゃお』

「…すみませんでした温様」

『ちょっっろ』


電話口で温が嘲笑っているのがムカつく。

だけど、そのくらい“彼女”──心音さんのことが好きなんだから、仕方ねえだろ。……と、心の中で毒づく。


『……ねえ、そういえば颯、前に駅でおばあさん助けたことあるって本当?』

「…………まあ」

『あー、心音の前だからカッコつけたかったんだ』

「……」


うっせーな、と思わず口に出しそうになったけど、その言葉はグッと飲み込んだ。

別に、好きな相手の前でカッコつけたくなるのはおかしくねえだろ。

……たとえ彼女に見られてなかったとしても、いや、見られていないかもしれないけど、もし万が一俺の方を向いたときに目に入った印象が、少しでもよければいい。


「……つーかなんで、温がそれ知ってんの」


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