85%確信犯
『2番線、ドアが閉まります』
まただ。また今日も、私は見つめてただけ。
いくら私が願っても、電車は彼と私の気持ちを置き去りにして走りはじめる。
◇
「…またなの?」
「…だって」
「ストーカーじゃん、完全に」
「う」
学校に着いて、いつもみたいにまだ彼のことを考えていたら、頬が緩みきっていたらしい。
私の密かな恋心を知っている、親友の温は、呆れたように私を見る。
指摘されたことは否定できない。
「学校も知ってるんでしょ?」
「…制服で」
「名前も知ってるんでしょ?」
「同中の子が、教えてくれた」
そう。彼の名前を私は知っている。
彼の名前は上倉颯というらしい。もちろん、彼の通う学校でも彼はモテモテらしい。…当たり前だろうけど。