Summer -未成年-


文太の爺さんが引き続き尋問まがいに教頭を問い詰める姿を見ながら、応接室を出る。



「ヒデさん、どう思いますか?」


『事実だけを直視すべきですよ神野くん。』


「・・・・・・。」


『刑事の悪い癖ですね。

君は“盗撮の真犯人は丸井氏じゃないか”と考えているのでは?』


「俺はあんたと違って想像力と勘で動く人間なんでね。

仮に丸井が盗撮犯だったとしたら・・

罪をなすりつけた罪悪感に苛まれて首吊ったとか?」


『可能性の一つとしてはあり得ますが、

副部長君が自白をした=犯人は副部長君、
と考えるに留めましょう。』


「・・了解。」



『岡本捜査官は彼が逆恨みの末、丸井氏を殺害したと考えているようですね。』


「だろうな。」


『120%ありえないと言いたい所ですが、

怒鳴られるのはこの病にとって最も良くない事ですから我慢します。』



120%か・・確かにその通りだ。


あの爺さんは他殺に捕われすぎて肝心な事をすっ飛ばしている。


仮に丸井が殺されたとして、

どうやって俺達警察の目を誤魔化せる程の“自然体”を作り上げたのか。


鑑識結果からも第三者の痕跡は全く見つかっていない。


そんな完全犯罪じみた事を・・

知識や行動力ある大人がやるならまだしも、17,18のガキが出来るはず無い。



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