Summer -未成年-
「あ、そうだ。
皆改めて紹介するが、
数日前から丸井のヤマに関して、
本庁から神野刑事がお越しになっている。
その流れでこのヤマにも加わって頂く事になった。」
柿谷主任から紹介が入ったので立ち上がって一礼する。
「神野刑事、捜査方針に関してなにかご意見はありますか?」
「あぁ~いや、こっちはこっちで好きにやらせてもらうからお構いなくどうぞ。」
「分かりました。
では皆、引き続き丸井と佐倉の関係を・・
丸井が佐倉を殺害した動機を明らかにするよう、聞き込みにあたれ。」
「柿谷、ちょっと待ってくれ。」
その時、会議室の上座に座り、黙って腕を組んでいた男がおもむろに立ち上がった。
確か・・ここの刑事課長の山里さんだったかな。
「文太さん・・・。」
「なんじゃ・・?」
「申し訳ございませんでした。」
山里さんは文太の爺さんを見て、
腰を45°折り曲げる。
「丸井の首吊り死体を最初に発見した時、
文太さんが“これは他殺だ”と喚いてくれなかったら、
佐倉の死体・・佐倉殺害という丸井が犯した罪に気付くことが出来ませんでした。」
「“喚く”は余計じゃ。
・・だが結果的にこれで丸井は“自殺”だとはっきりした。
・・・儂のほうこそ悪かったな山里よ。」