Summer -未成年-
『ですから最後まで油断したらいけないと言ったのに。』
「説教は帰ってからにしてださい。
めちゃくちゃヒリヒリして、
それどころじゃないです。」
『こんな事もあろうかと、昨夜は薬局で消毒液を買っておきました。』
「そりゃどうも。」
耳に付けたイヤホン越しに、俺の上司“ヒデさん”こと月本ヒデトシ警部との通信を終え、
警視庁広報部 地域PR課へと戻る。
捜査1課で刑事としてのキャリアを積んでいた俺は、
ある事件をキッカケにここへ左遷された。
但し、“左遷”と表現するのはこの地域PR課の正体を知らない人間に対してだけ。
ここの正体は・・俺が刑事としてのキャリアを再出発させる事となった、
この職場の正体は“刑事部 捜査6課”。
人手不足が主な理由だけど、全国の警察署から寄せられる“応援要請”によって、
ネコ探しだろうがなんだろうが、
どんなヤマでも対応に当たる部署。
今日も消息不明となっていた飼い猫を無事に保護して任務を終える。
・・・あのマダムおばちゃんのキツすぎる香水やエリザベスの態度を見る限り、
捕獲することが本当に“保護”だったのか良く分からないが・・。