Summer -未成年-
「他殺と考えているのは岡本 文太さんといううちの超ベテランです。
私も若い頃からお世話になってましてね。」
「そのベテランが他殺と訴えているなら、
一考の価値があるのでは?」
「今回だけじゃないんです。」
「・・・?」
「文太さんは首吊り死体が見つかる度に、“他殺だ”と喚くちょっと困った人でしてね。
例え遺書があろうが、
仏さんが周囲に“死にたい”とこぼしていたという証言があろうが、
とにかく自殺だと認めないんですよ。」
「・・・・・・・・。」
「うちの上司が今回の件でとうとうキレちまいまして、
私を含め他の連中はこれ以上捜査しないっていう方針を出したんです。」
「それでその岡本さんだけが独りでこの炎天下の中、走り回ってるって事ですか・・。」
「うちの上司も・・刑事のイロハを教えてくれた恩人のそういう姿を見て、
やっぱり心が痛くなったんでしょうね。
こっそり署長に相談したらしく、署長が警視庁にSOSを出したってワケです。」