Summer -未成年-
――――――
「あ~疲れた・・・。」
宿泊先のビジネスホテルへ帰ってきて、
部屋に入った途端独り言が漏れる。
どうやらたまに来るネコ探し以外、
ほとんど警視庁から出なかった体は相当鈍っているらしい。
大して動いてはいなかったが、夏の日射しに打たれ続けた疲労がドッと押し寄せてきた。
イヤホンと発話器を外す代わりに、
ノートPCを立ち上げて電話会議システムを開く。
「ヒデさん、戻りました。」
『お疲れ様でした。
先にシャワー浴びなくて大丈夫ですか?』
「風呂とオレンジジュースは一日の仕事が終わってからって決めてるんでね。」
独りで全てをこなしたと考えれば、
あの爺さんには頭が下がる。
今日までの間に相当な人間に聞き込みをしていたらしく、その情報は全て教えて貰った。
ナカサキ総合高校教師 丸井シゲル。
一言で表現すると、
“当たり障り無い”人間のようだ。
彼に対する周りの評価で当てはまる言葉は“無関心”。
担任を受け持っていたわけでもなく、
学年問わず物理・化学の授業をしていた教科担当の先生だったらしい。
部活の顧問は水泳部との事だが、今年度は入部者がいなくて活動はしていない。