Summer -未成年-
第6章
第6章
少年に力はなく
少女には思想を与えられず
窪田 トシヤ
********************************************
この日の為に、
生まれて初めてRight-onへ行った。
キョドキョドしていた僕を見つけた店員のお兄さんが、
「今年の流行りはっすね、グレーにグレーを合わせるんすよ!!」
と優しくエスコートしてくれて、
人生初の服の買い物をする事が出来た。
迎えた8月10日。
終業式以来にくぐった校門の先、
既にチサトも荒木もそこにいた。
「うっわぁ窪田・・ねずみ色だな。」
チサトが早速僕の“ふぁっしょん”の違いに気付いたのか、興味津々に僕の周りを回る。
「こ、今年の流行りは・・
グレーにグレーを合わせるんだよ!」
「うん、良い感じにダサいよ。」
二度とRight-onへは行かないと固く決意させてくれる笑顔を向けてきた。