Summer -未成年-
――――――
「カンパーイ!」
チサトの音頭で、ファンタとジンジャエールとビックルが重なった。
花火のお供にと駄菓子屋で買い込んだお菓子を広げて、三人並んで一点を見つめる。
小さい頃は両親に手を引かれ見に行った。
小学生は友達と見に行った。
中学に上がる頃にはいつの間にか見に行かなくなった。
ずっとネットゲームをしていた。
まさか・・高校に上がって・・
またこうして・・・・
“ドォン!!!”
夜空に火花散り、
時間差で聞こえる心地良い爆発音。
開会を告げる一発と共に、
ウジウジしていた気持ちも晴れた。
座り直すフリをして少し後ずさりする。
位置を変えた僕の視線の先には何色にも彩られる夜空、
・・・そして・・大好きな横顔・・。
「・・・・・綺麗・・。」
子供よりも子供みたいに夜空に心奪われるチサトが映っていた。
「やべっ腹痛くなってきた。」
「・・!!?」
What’s!!!? 早くない!?
良い感じに、
DAOKO × 米津玄師 [打上花火]
の前奏が始まってもおかしくない雰囲気だったのに、
荒木が僕を見ながら立ち上がった。