Summer -未成年-


「・・・無いよ。」


「・・・え・・え?」


勝手に自分の世界観に浸っていたら、チサトが僕に何かを話し掛けていたようだった。


思いっきり聞き逃してしまう。



「ごめん、なんて?」


「最後に・・窪田と一緒にこんな綺麗な空見られて、良かったよ。」


「う、うん。僕も。」


「・・・・・・・・・・・・・。」



逃げちゃダメだ!!!!!




「チサト・・・あの・・。」


「・・なに・・?」


「い、言いたいことがある。」


「私も窪田に言わなきゃいけないことがあるの。」


「お、お先にどうぞ。」



逃げちゃダメじゃん(T^T)


これはレディファーストだと自分に言い聞かせ、チサトと目線を合わせる。





「・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・?」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「・・どうしたの・・?」


「ありがとう。」


「・・???」


チサトが立ち上がって、
より視線の先の夜空へ一歩ずつ歩き出す。


よく分からないけど、無意識に僕も立ち上がってそれを追いかける。


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