虹色シンデレラ
その日、日付が変わる直前に家に帰った。

あんまり遅くなったからマンションに帰ろうかとも考えたけれど、それはそれで面倒くさくてやめた。



無理を承知で、こっそり自分の部屋へ向かう。


しかし、運悪く母さんに会ってしまった。

「随分遅いのね」

「母さんも、仕事ですか?」

「ええ、撮影が長引いてしまったの。あなたは?」

「太郎のマンションで飲んできました」

「そう」

何か言いたそうな母さん。


「じゃあ、おやすみなさい」

「・・・ねえ、哲翔」

「はい」

「しっかりしてくれないと困るのよ。あなたが『自分の行動には責任を持ちます』って言うから護衛だってつけてないんですからね」

「分かってます」

「そうは見えないけれど」

クソッ。

母親ってみんなこんな物だろうと思う。

でも、腹が立つ。


「気をつけます。おやすみなさい」

返事を待つことなく、俺は逃げ出した。
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