虹色シンデレラ
女優、高宮百合子。
それが俺の母さんだ。

美人で、凜々しくて、高宮の嫁としていつもきちんとしている完璧な女性。

しかし、母親としては・・・

どんなに記憶をたどっても、俺は母さんに抱きしめられた覚えがない。

褒められたことも、手をつないで歩いたこともないと思う。



「お帰りなさいませ」

えっ。

「菅原。こんな時間まで起きていたのか?」

「ええ、ご帰宅の連絡がありませんでしたので」

ああそうだった。
連絡するの忘れていた。

1人暮らしに慣れてしまって、ついうっかりしていた。


「咲良さんとご一緒でしたか?」

「え?」


「申し訳ありません。ですぎたことを」

慌てて頭を下げる菅原。


「すまない。これからは気をつけるから」

「お願いいたします。では、おやすみなさいませ」

「ああ、おやすみ」


はー。

やはりこの家の暮らしは窮屈だ。
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