虹色シンデレラ
「事実だろう。この前みたいにちょっと帰りが遅くなったのとは訳が違うんだ。菅原の首が飛んでも不思議じゃない」


「意地悪っ、冷血漢っ、鬼っ」

両親にも、康生にもあげたことのないような声で叫んでいた。

そして、また泣いてしまった。


「いくら怒ってもいいけれど、行かせることはできないよ」

「・・・」


『菅原さんの首が飛ぶ』って言われたら、悔しいけれど強行突破はできない。

はあ、なんて窮屈な暮らしなんだろう。



「分かってくれたと理解していいんだな」

大泣きしている私を慰めるわけでもなく、淡々と口にする哲翔さん。


私は返事をせずに部屋を出た。




その日から、私は哲翔さんと口をきかなくなった。

向こうもわざわざ話しかけてこない。

まるで倦怠期の中年夫婦みたいな生活。
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