虹色シンデレラ
その日の夜。

ブーブーブー。

携帯の着信。

ああ、父さんからだ。


『もしもし、虹子か?』

「うん。父さん、お誕生日おめでとう。今日は行けなくてゴメンね」

『何言ってるんだ』

「だって、父さんにも、母さんにも会いたかったのに」

みんなでお祝いしたかった。

母さんの料理だって食べたかった。


「父さん。私、この家になんか・・・」

来なければよかった。

そう言いかけてギリギリで言葉を飲み込んだ。

それは、口にしてはいけない。
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