虹色シンデレラ
「ありがとう。お陰で今日も頑張れそう。また何かあったら教えてください」

「はい」

付き合いも大分長くなったせいか私のキャラもつかんでくれて、2人でいるときに限っては敬語がどうのと言わなくなった乃梨子さん。

私もすっかり頼り切っている。


「そう言えば、お母様から『そんなに大きな口を開けてで笑うんじゃありません』って注意されたんだけど」

「フフフ」

珍しい、乃梨子さんが笑った。

「どうしたの?」

私、変なこと言っただろうか?

「いえ、すみません。奥様のお考えは分かりませんが、虹子様の笑顔はチャーミングだと思います。週刊誌の報道でも『庶民的で親しみの持てるプリンセス』と好意的に書かれていますし」

「へー」

乃梨子さんも、そんなもの見るのね。
意外だな。



トントン。
「虹子」

ノックと同時に開いたドア。


「もー、いきなり開けないでよ」

「何だ、まずかったか?」

「そうじゃないけれど・・・」


ならいいじゃないかと、入ってきた哲翔さん。


入れ違いに、乃梨子さんが部屋から出て行った。
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