虹色シンデレラ
「そんなに気に入らないなら、縁談なんて断ってくれればよかったのに」
「はあ?」
だって、元々どちらかに結婚を考えるような人がいれば無しになるはずの許婚。
咲良さんと婚約すれば済む話。
咲良さんなら社交界にも慣れているし、綺麗だし、私なんかよりずっと適任なのに。
「やめろ」
「えっ?」
「そのふてくされた顔。お前の取り柄は『親しみやすい笑顔』だそうだから、せめてそれだけは崩さないでくれ」
「ハイハイ」
それしか取り柄がありませんから。
皆さんの前では明るく笑いますよ。
でも、
哲翔さんに笑って見せる義理はない。
8月に入ってからもう5度目のパーティー。
もうそろそろ慣れてもいいとは思うけれど、やはり慣れない。
毎回お客様が違うのもあるけれど、パーティー翌日のお母様や哲翔さんからのダメ出しが怖くて気が重い。
トントン。
「虹子様、そろそろお支度をお願いします」
「はい」
乃梨子さんの声と共に哲翔さんは部屋を出ていった。
「はあ?」
だって、元々どちらかに結婚を考えるような人がいれば無しになるはずの許婚。
咲良さんと婚約すれば済む話。
咲良さんなら社交界にも慣れているし、綺麗だし、私なんかよりずっと適任なのに。
「やめろ」
「えっ?」
「そのふてくされた顔。お前の取り柄は『親しみやすい笑顔』だそうだから、せめてそれだけは崩さないでくれ」
「ハイハイ」
それしか取り柄がありませんから。
皆さんの前では明るく笑いますよ。
でも、
哲翔さんに笑って見せる義理はない。
8月に入ってからもう5度目のパーティー。
もうそろそろ慣れてもいいとは思うけれど、やはり慣れない。
毎回お客様が違うのもあるけれど、パーティー翌日のお母様や哲翔さんからのダメ出しが怖くて気が重い。
トントン。
「虹子様、そろそろお支度をお願いします」
「はい」
乃梨子さんの声と共に哲翔さんは部屋を出ていった。