虹色シンデレラ
しかし、

私の考えは甘かった。



中東の王子様ってチョー積極的。


情熱的だと言われるヨーロッパの男性よりも強気に迫ってくる。

優しそうな笑顔を向けられ深緑色の瞳で真っ直ぐ見つめられると、差し出されたグラスを断ることはできない。


(プリンセスとの出会いに、乾杯)

流暢な英語を通訳を介して言われてしまえば、私は口をつけるしかない。


さっきから代わる代わるお客様に囲まれ、逃げ場もない。


(プリンセスは本当にお綺麗ですね)

王子様が顔を覗き込むように私を見ている。


そんなに見て楽しい顔だとは思わないけれど。


(私は日本の文化に興味があるのです。よかったら街を案内していただけませんか?)

「えっ?」

さすがに危険を感じて、距離をとった。
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