虹色シンデレラ
高宮家のやたらと広い大広間。

今日はいつも以上に人が多い。


「いつ見てもプリンセスはかわいらしいですね」

褒めているつもりで、俺に話しかける来客達。

俺は相槌を打つ気にもなれず、グラスを手にした。


綺麗な女性を見慣れていて、贅沢だって知り尽くしている金持ち達。

そんなおじさん達には虹子が新鮮に映るんだろうか。

パーティーのたびに、虹子の周りには人集りができる。



「今日は一段と賑やかだね」

話しかけてきたのは外務大臣。

60代のお洒落なおじさん。

父さんとは旧知の仲で、俺も小さい頃からかわいがってもらっている。


「あんなにモテモテじゃあ、君も心配で仕方ないだろう」

「やめてください」


心配の意味が違う気がする。
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