虹色シンデレラ
「哲翔さんはいつ帰ってきたの?」

「うーん、4時だったかな。つい飲み過ぎてしまった」

そこは正直に言うんだね。


「あまり寝てないのに、大丈夫なの?」

「心配するな。向こうでゆっくり休ませてもらうから」

なんだかとっても楽しそうな哲翔さん。

私はそんな気分じゃないのに。



「そろそろ出発のお時間です」

菅原さんが呼びに来た。


「はい」

色々思うところはあるけれど、今は実家に帰れることを喜ぼう。


父さんや母さんに会えることも、おろしたてのスーツや靴も嬉しいことだから。

咲良さんのことはしばらく忘れよう。



「ほら、行くぞ」

笑顔の哲翔さん。


「はーい」

私は駆け足で後を追った。
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