虹色シンデレラ
「哲翔くん、騒々しくてすまないね。さあ座って」

父さんが席をすすめる。



今日のメニューはたこ焼き。

それぞれ好みの具材を入れながらみんなで焼く。

海鮮の嫌いな康生の前にはソーセージやコーン、チーズがたっぷり入ったものが並ぶし、キムチが好きな父さんの前にはキムチ入り、ネギと海老好きな母さん用と、シンプルにたこオンリーの私用。
みんなそれぞれ好みがある。


「哲翔さんは何が好き?」

哲翔さんとたこ焼きを食べたことがあるはずもなく、私には好みが分からない。

「何でもいただくよ。正直、自分で作ったことがなくて・・・分からない」


そうだよね。

宮家ではたこ焼きも焼肉も、鍋も出てこないものね。


「じゃあみんなが焼いたのを食べてみて、好みのものを見つけるといいわ。何度も焼くから」

母さんの助け船。

「はい」

すべてが初めての体験であろう哲翔さん。

不思議そうに私達を見つめている。
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