虹色シンデレラ
「うちの実家で、哲翔さんは本当に楽しかったの?」

「ああ」

本心から楽しかったし、こんな環境で育った虹子が羨ましかった。


「嘘よ」

「嘘じゃない。虹子こそ、どうしてそう思うんだ?」

「無理しているでしょ?」

「してない」

「嘘」

「だからっ」
無意識にきつい口調になってしまう。


俺の勢いに眉をひそめた虹子は、「はあぁー」ともう一度溜息をついてからまっすぐに俺を見た。

「哲翔さん。金曜の夜は太郎さんのマンションに行っていたのよね」

「ああ」

「酔っ払って、帰ってきたのは朝の4時」

「ああ、そうだった」

「咲良さんと一緒だったでしょ?」

「えっ」
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