虹色シンデレラ
「で、この車はどうしたの?」

走り出した車の中で、未来が聞いた。


確かにピカピカの新車だし、車のことに詳しくない私でも高そうだってことはわかる。

就職前の大学生が乗っているには、いささか違和感がある。


「おじさんからの就職祝いなんだ」

「へー、いいなあ」

未来はうらやましそうな声を上げるけれど、

おじさんって、お父様のことよね。

それを知っている私としては、複雑な気持ち。

「私もそんなオジサマが欲しい」


クスッ。

つい笑ってしまった。


そのおじさまが総理大臣だなんて知ったら、未来は驚くんだろうな。

もちろん、言うもりはない。

祐介くんも望んではいないだろうから。


「さあ、どこへ行こうか」と祐介くんに聞かれ、悩んだ末に私たちは海に向かうことにした。
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