虹色シンデレラ
「らしくないな」

「らしいって、何?私は私だわ。変わってしまったのは哲翔の方」

「咲良」

忘れていた。

咲良は気の強い女だった。


「友達でも、幼馴染みでも、愛人でもかまわない。時々会いたいの」

「それは・・・」

出来る訳がない。

虹子にも、咲良にも、余りに不誠実だ。


「どうしてもダメなの?」

泣きそうな顔をした咲良。

「すまない」

俺もうつむいてしまった。


すでに、動き出してしまった。

もう、止められないんだ。



「分かった。もういいわ」

そう言うと、席を立ちキッチンへ消えて行った。
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