虹色シンデレラ
眠り続ける咲良に毛布を掛け、俺は抱き上げた。

「大丈夫?」

先生が声をかけてくれるが、誰にも渡すわけにはいかない。


廊下を通りエレベーターで1階へ、エントランスには住人の姿もある。

チラチラと視線を感じながら、まっすぐ入口を出るとすでに菅原が待っていた。



「あとはこちらで」

咲良をシートに寝させると、菅原が言った。

「いや、俺も行く」

「いけません。私にお任せください」

「しかし・・・」

このまま任せてしまうのは、あまりに無責任だろう。


「これ以上、事が大きくなるといけません。どうか、私にお任せ下さい」

そう言われれば反論できない。

この事が外に漏れて傷つくのは、咲良なんだ。


意識が戻ったら必ず知らせると約束させて、俺は咲良を菅原に託した。
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