虹色シンデレラ
「お前だけが言われる筋合いはないと思うぞ。もっと堂々としていればいんだよ」

「でも」

そんなことしたらまたお母様の機嫌が悪くなってしまう。

ただでさえ気に入られるているとは思えないのに。

「そんなことでうまくいかなくなるような縁談なら、壊してしまえばいいさ」

「そんな」

「だってそうだろう。虹子はこの縁談を嫌がっていたはずじゃないか」

「それはそうだけど」

そんな単純な話じゃない。


「かえって好都合だろ」

「もう祐介くんたら」

祐介くんてこんなこと言う人だっけ?

いつもはもっと慎重で、誠実な好青年て感じなのに、今は別人。

強気で意地悪なところは哲翔さんに似ていて、やっぱり兄弟なのね。


「もし行き先がなくなったら、俺がもらってやるよ」

茶化して言われた言葉に私は絶句した 。



「部屋に帰るわ」

「ああ」

なんだか会話が続かない。

言った祐介くんも言われた私も、目が合わせられなかった。


「じゃあ」

「何があったら、知らせろよ」

「うん」




「あーもう」

朝からどっと疲れてしまった。


部屋に戻った私はもう一度ベットに潜り込んだ。
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