虹色シンデレラ
マンションの片付けに行ってから1週間。

やっと、哲翔さんが戻ってくる。

そう思うだけで、私はウキウキしていた。



「お帰りのようですね」

窓の外を覗きながら、乃梨子さんが教えてくれた。


部屋の窓から母屋や玄関が見えるわけではないけれど、人の動きで何となくわかるらしい。

さすが、プロ。

私もソファーから立ち上がりカーディガンを羽織った。

哲翔さんの帰りがうれしいはずなのに、なぜか体調は最悪で朝から寒気までする。


「大丈夫ですか?」

心配そうに手を差し出す乃梨子さん。

「大丈夫。1人で歩けます」


ゆっくりとした足取りで部屋を出ると、廊下で哲翔さんを待つことにした。
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