虹色シンデレラ
トン トン トン トン。

近づく足音。

しばらくして、哲翔さんの姿が現れた。



「お帰りなさい」

まっすぐに私の前まで来た哲翔さんに、声をかけた。

「ただいま。お迎えとは嬉しいね」

いつものような軽口。

「片付けも卒論も終わったの?」

「ああ」

本当は咲良さんとのことを聞きたいのに、怖くて口にできない。


「それより虹子、顔色悪いぞ」

ヤバイ、バレてしまった。

「大丈夫だよ」

頑張って言ったのに、


「虹子様っ」

乃梨子さんの、今まで聞いたこともないような鋭い声が飛んだ。
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