虹色シンデレラ
どういうことだ?と、私と虹子さんを交互に見る哲翔さん。


「哲翔様がお帰りまではとの約束でしたので黙っておりましたが、お帰りになりましたので言わせていただきます」

「の、乃梨子さん。何も今言わなくても・・・」

私は眉をひそめた。


「何なんだ。はっきり言ってくれ」

哲翔さんは乃梨子さんを見ている。


「虹子様は体調を崩しておいでなのです。食事をしてもすぐに戻られてしまいますし、眩暈もおありのようでふらつきも見受けられます。虹子様は『疲れが出ただけだ』と言っておいでですが、かなりつらそうです」

「それで?」

冷たい口調で言い、乃梨子さんに詰め寄る哲翔さん。

「それを知っていて、おまえは放っていたのか?」

威圧感のある言葉。

「申し訳ありません」

なぜか謝る乃梨子さん。


それは、将来宮家を継ぐ御曹司の顔。

私の知らない哲翔さん。


でも、待って。
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