虹色シンデレラ
「もういい。部屋に戻るぞ」

強めに腕をつかまれ、

「離してっ」

私は力いっぱい振り払った。


次の瞬間、

「いい加減にしろっ」

その声の大きさに、私の動きが止まった。

哲翔さんはいつも怒りっぽいけれど、大声をあげて怒鳴ることはない。


「どうしたの?」

こんな余裕のない哲翔さんは初めて見た。

「どうかしたのはお前の方だろう」

「はあ?」

意味が分からない。


「ねえ哲翔さん、1人で怒ってないではっきり言って。何が気に入らないのよ」

「本当にわからないのか?」

私はコクンとうなずいた。
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